
イベントでのドローン撮影完全ガイド──許可申請・法律・空撮のポイントを徹底解説
2025年08月26日

美しい映像を撮る前に、まず担保すべきは安全。
ドローンの飛行は、航空法や各種規制、会場のルールといった多層のルールの上に成り立っています。しかも、申請や許可の有無は現場や空域、撮影の方法で変わります。
本記事では、初めて担当する方でも迷わないように、「無人航空機」の定義、上空での禁止事項、必要な申請や登録の流れ、現場のリスクと対策までを解説。

ドローン撮影は注目を集めやすい一方、ひとたび事故が起きれば信用は失われます。機体の落下や通信途絶は第三者の怪我や設備損傷につながり、企業や自治体のブランドにも傷がつきます。
安全配慮が徹底された運用は、プロジェクトの“映像”品質と同じくらい価値があります。
航空法や禁止空域のルールに反した飛行は、その時点で使用不能。広告出稿やSNS運用、紙媒体のQR誘導など、後工程にも影響します。最初にルールを把握することが、最短の成功ルートです。

航空法では、機体本体+バッテリーの合計が100g以上のものを「無人航空機」とし、規制の対象になります。
100g未満は模型航空機に区分されますが、会場の内規や他法令で禁止される場合があります。まずは自分たちの機体がどちらに該当するかを確認しましょう。
代表的なのは、人口集中地区(DID)の上空、空港等周辺、地表から150m以上、そして「催し場所の上空」。
これらは原則として許可や承認が必要です。境界付近や複合条件の現場では、早めの確認が欠かせません。
夜間飛行、目視外、第三者や物件との距離30m未満なども承認対象です。
特にイベントでは、観客の上空を跨がない設計が基本。必要性があっても、立入管理・補助者配置などの対策が前提になります。
「小型無人機等飛行禁止法」により、重要施設および周辺おおむね300mの上空は原則禁止。
航空法の許可とは別ルートの調整が必要になるので注意してください。
特定飛行(DID、夜間、目視外、30m未満、催し場所上空、空港等周辺、150m以上 等)のうち、内容によっては「操縦者技能証明+機体認証+立入管理+安全マニュアル」で許可・承認が不要になるケースもあります。
一方、空港等周辺や150m以上、催し場所上空、危険物輸送・物件投下、総重量25kg以上は、技能証明や機体認証の有無に関わらず個別の申請が必要です。
100g以上の無人航空機は登録が前提。最新の方式では、機体にリモートIDを備える運用が基本です(例外は限定的)。登録が未完了の機体は、申請自体が進められないことがあるため、余裕をもって手続きを行いましょう。
DIPS(ドローン情報基盤システム)で申請→審査→許可・承認の発出という流れが基本。
繁忙期は審査に時間がかかることがあり、またリスケ(予備日)や資料差替えで納期が延びるケースも。撮影時間と公開納期から逆算し、1〜2週間以上の余裕を持つのが現実的です。
スタジアムや市街地ではWi‑Fiや無線が密集し、C2リンクが不安定になりがち。事前に電波環境を確認し、周波数や送信出力の最適化、アンテナ位置の調整、フェイルセーフ設定(RTH高度・低電圧処理)を徹底。GNSSが不安定な空域ではATTI想定の訓練も必要です。
建物の周辺はビル風が複雑。地上では微風でも上空で急変することがあります。最大風速の運用基準を定め、突風が増える時間帯は飛行を回避。雨滴はプロペラ効率を下げ、センサー誤作動の原因にもなるため、降雨予報時は代替カット(地上カメラ)を準備します。
過放電や過充電は発熱・膨張の原因。サイクル管理、温度管理、運搬時の耐火バッグ使用、離着陸前後のセルバランス確認をルーティン化します。プロペラの微細な欠けや軸のガタは振動を生み、映像ブレや故障に直結。点検ログを残しましょう。
観客の上空を跨がないルートを設計し、最低30mの距離確保を基本に。やむを得ない場合は立入管理(柵・コーン・警備員)と補助者の目視体制を敷きます。離発着地点は視認性の高いマットを使い、出入口や導線と交差させない配置に。
映像に第三者の顔や車両ナンバー、企業ロゴや図面が映り込む場合は、撮影前に合意を取り、編集でのぼかしやトリミング方針を決めておきます。音楽やロゴの権利処理も運用ルールに組み込みます。
操縦者、補助者、安全管理、地上カメラの連携を無線で統一。緊急時は飛行即時中止→着陸→退避の順に行動できるよう、合図と導線を共有します。
俯瞰→寄り→回り込み→ディテールという方法は有効ですが、無理な飛行はしないのが原則。看板・アクセス・動線・人の流れなど必要カットを先に確保し、余裕があれば演出カットを追加します。
夜間は視認性の確保(機体ライト、反射ベスト)、地上照明の手配、降雨時の中止基準を明文化。目視外は補助者の配置と、RTH設定・障害物センサーの挙動確認が前提です。
ヒヤリハットは即時共有。軽微な接触でも機体を交換し、振動値やログを確認。第三者に接触した場合は、応急手当→関係各所への連絡→報告書作成と保険手続きを淡々と実施します。
近い業界・地域での実績、保険の内容、申請代行の可否、立入管理の設計力を確認。価格の比較は、プランに含まれる人員(操縦者/補助)、時間、納品データの本数で見ます。
「安全距離をどう確保するか」「空域のグレーをどう回避するか」「納期が短いときの現実的な対策は何か」——このあたりを言語化できる相手は信頼できます。見映えだけでなく、ルールと運用をセットで提案できるかが鍵です。

模型航空機として航空法の規制対象外でも、会場のルールや他法令で禁止される場合があります。イベントや重要施設周辺では、原則として飛ばさない判断が安全です。
内容と時期によりますが、1〜2週間の余裕は欲しいところ。繁忙期や空港の周辺にかかる飛行はさらに前倒しで動きます。
用途に応じて、横/縦の書き出し、無音版、サムネイル静止画、ロゴ透過など。将来の再編集に備え、プロジェクトの整理方針も共有しておくと安心です。
ドローンの撮影は、映えるカットを積み重ねる前に、ルールとプロセスを積み上げる仕事です。
航空法と空域の理解、許可・申請・登録の順守、現場のリスクに応じた対策、そしてチームの運用力。これらがそろってこそ、安心して使える映像が手に入ります。紙媒体とWebを横断して活用できる設計を行い、安全を土台に成果を積み上げていきましょう。