
ドローン撮影の安全性を確保するために──許可・規制・リスク対策と注意点を徹底解説
2025年08月26日

花火大会、音楽フェス、スポーツ大会、商業施設の周年祭――イベントの臨場感を最大化するうえで、ドローンによる空撮は強力な映像手段です。
とはいえ、イベント上空の飛行は、一般の撮影よりも法令・許可のハードルが高く、安全体制や進行管理の難易度も上がります。
本記事では、初めての担当者でも迷わないよう、必要な申請と法律の基本、会場周辺の空域判断、実務的な方法、スケジュールと見積の考え方までを整理します。制作会社やフリーランスへの“依頼”時に使えるチェックリストも付け、失敗しないドローン“撮影”の実行計画を提示します。

映像の冒頭2〜3秒で観客の視線を引くには、会場全景の“空撮”が最短ルート。来場導線、ステージの見通し、混雑の波、夜景のライトアップなど、来場判断に直結する情報を短時間で伝えられます。
SNSの動画短尺、LPのヒーロー、サイネージのループまで活用し回すことで、広告費の投資対効果も高まります。
施設の入退場口、救護所、休憩エリア、駐車場の混雑状況を俯瞰で示すと、運営側のアナウンスが通りやすくなります。来場前に映像で動線を共有すれば、迷子や滞留の抑制にもつながります。
航空法では、機体本体+バッテリー合計で“100g以上”は「無人航空機」に該当します。100g未満は模型航空機ですが、イベントでは小型であっても危険が高く、会場ルールで飛行禁止のケースが一般的です。
まずは自社の機体がどちらに当たるか、登録・リモートIDの要否を確認しましょう。
イベントで問題になりやすいのは、
①人口集中地区(DID)の上空
②空港等周辺の進入表面・水平表面等
③地表から150m以上の空域
④催し場所の上空
⑤夜間目視外30m未満など飛行の方法に関する承認項目です。
どれに該当するかで許可や承認申請の要否が変わるため、会場の地図とタイムテーブルを使って洗い出します。
空港・重要施設外国公館等周辺では小型無人機等飛行禁止法が別途働きます。対象エリアの上空では原則飛行禁止で、飛行する場合は施設管理者の同意や公安委員会への通報が必要です。航空法の許可・承認とは別系統なので注意しましょう。
ポイント:イベント会場がDIDか、空港や重要施設の周辺か、催し場所上空に当たるか――この三点の重なりを最初に確認すると、手続の全体像が描けます。
会場の空域を地理院地図等で確認し、空港周辺やDIDへの該当有無をチェック。
会場施設の屋根材、風の抜け、アンテナ・電波状況、第三者導線、立入管理ラインをマップ化します。イベント時間ごとの逆光・日陰も併記して、必要カットの飛行時間割を作成。
無人航空機の飛行許可・承認申請(DIPS)、会場施設の使用許可、必要に応じて警察・消防・道路使用や河川管理者との調整を並行。
小型無人機等飛行禁止法エリアでは、管理者“同意”と公安委員会通報を忘れずに。夜間・目視外・30m未満等の飛行の方法承認が必要かも精査します。
観客の上空は原則避け、やむを得ず催し場所上空に入るカットは、立入管理と補助者配置、被覆ネット等のリスク低減策をセットに。
フェンス・コーン・腕章・無線・消火器・救護導線を事前に手配。機体は保守済み、小型〜大型まで機体 × 風速の関係を踏まえ、冗長化バッテリーやフェールセーフを確認します。
飛行は「俯瞰→寄り→回り込み→ディテール」の順に構成し、来場判断に必要なカット(入口・看板・混雑・退避スペース・駐車・アクセス)を優先。ピーク前後で同じ導線を2回撮ると編集耐性が高まります。
CM品質を狙うなら地上カメラやクレーンと組み合わせ、カメラ間の動線が交差しない導入経路を決めます。
30〜60秒のマスターから、9〜15秒縦型、5秒ループを派生。映像内のCTAは「アクセス/チケット/予約」へ最短導線に。サムネイル静止画、縦横別のデータ形式、会場MAP入りの短尺など運用パッケージで納品します。

技能証明や機体認証の有無に関わらず、催し場所上空は原則として個別の許可・承認が必要。
立入管理の計画(バリケード・警備員配置・観客導線の分離)を添付資料に含め、危険源の洗い出しを明記します。
都市部のイベントはDIDに該当しがちで、さらに空港等周辺に掛かる場合は高度制限や空域の追加ルールが乗ります。
空域が境界付近なら管理者へ事前照会し、飛行高度の上限を文書で確認しておくと安全です。
100g以上の無人航空機は航空法の対象。
小型(100g未満)でも、会場施設の内規や条例、小型無人機等飛行禁止法の周辺規制にぶつかることがあります。重量に関係なく法律と会場ルールの双方を確認しましょう。
安全距離を取り、観客の頭上を跨がない飛行ルートを基本にします。
臨場感は上空通過ではなく、手前を低速で並走するカメラワークや、ステージ背後からの逆光シルエットで演出可能です。
ゲートのオープン、飲食ブースの賑わい、退場の流れ――必要カットを時間帯ごとにチェックリスト化。
実況PAとインカム連携し、MCトークや花火の打上“時間”に合わせて“飛行”します。
夜間は視認性確保(ライト、反射ベスト)、風速・降雨・視程の閾値を決め、基準超過で“飛行”中止。
CM等でどうしても必要な場合は、地上演出の追加で代替カットを準備します。
費用は、企画・ロケハン・飛行人員(操縦者/補助)・機体・保険・編集(尺・縦横本数)・BGM権利・リスケ条件で決まります。
半日時間+短尺編集のプラン、終日+複数尺の拡張プランなど、目的に合わせて選択。
対応範囲(申請の代行可否)、実績(過去の企業やイベント事例)、安全体制(立入管理・保険)、納品データの本数・比率、修正回数、二次利用範囲。価格差の理由が強みに紐づいているかを見極めます。
キックオフ→申請→許可→予備日→本番→“映像”納品。特に夏祭り・花火大会は申請が集中するため、1〜2か月前倒しが現実的です。リードタイムが厳しい場合は“方法”(夜間・目視外・加工的な演出)を絞って安全第一で設計。

会場住所を地理院地図で確認し、DID・空港周辺・150m以上の空域に該当しないかをチェック。
イベントが催し場所上空に当たるかは、入場者数・導線・立入管理の計画を含めて判断します。
観客エリアから30m以上の距離確保、観客の上空を跨がないルート、フェイルセーフの確認、風速基準、バッテリー冗長、地上スタッフの方法訓練。ヒヤリハットは場内無線で共有します。
短尺なら数日、複数拠点やCM品質なら数週間が目安。天候リスケや空港周辺確認・追加申請が入ると延びます。余裕のあるカレンダー運用が安全です。
イベントでのドローン撮影は、迫力ある映像によるプロモーション効果が高い一方、法律・許可・安全体制の整備が不可欠です。
無人航空機の重量や登録、会場の空域と上空の扱い、催し場所や空港周辺の規制、小型無人機等飛行禁止法の適用範囲――これらを正しく理解し、計画・申請・運用を丁寧に積み上げましょう。
紙媒体(チラシ・パンフ)と動画をQRでつなげば、集客から会場体験、事後のレポートまで一貫したコミュニケーションが構築できます。押し売りではなく、目的に寄り添った設計で、安心・安全かつ効果の高い空撮を実現してください。