
【完全保存版】ドローン空撮のはじめ方──機体選びから映像制作・活用術まで
2025年07月24日

空撮映像には、人の視線を一瞬で惹きつける力があります。映像に“高さ”が加わるだけで、ブランドの世界観やスケール感が伝わりやすくなり、SNSやWeb広告での印象度を大きく左右します。
4KやRAW撮影が可能な軽量機体の登場により、商用でも取り入れやすくなった今、ドローン撮影は広告・映像制作の現場でますます注目を集めています。本記事では、ドローン活用における基本の流れから、規制対応、編集テクニック、制作依頼のポイントまでを網羅的に解説します。

企業や店舗が空撮を取り入れるべき理由は、単なる話題性や流行にとどまりません。今だからこそ注目される背景があります。
スマートフォン全盛の時代、多くの映像が地上からの目線で撮られるなか、空からの俯瞰映像は視覚的に圧倒的なインパクトを与えます。他と差をつけるには、“高さ”が武器になります。
ドローン動画はタイムラインのなかでも異質な動きで視聴者の目を引き、冒頭5秒での惹きつけ力が格段にアップします。SNS広告やPR映像との相性は抜群です。
機体の小型化により、許可が不要なケースも増加しています。これにより「面白そうだけど難しそう」と感じていた企業にも導入しやすい環境が整っています。
撮影企画で最初につまずきやすいのが法規制。安全な運用とトラブル防止のためにも、基本的なルールを把握しておきましょう。
・100g以上:機体登録が必須。国土交通省「DIPS 2.0」で申請
・250g以上:リモートIDの搭載義務あり。飛行内容に応じた許可が必要
・100g未満:登録不要だが、都市部やイベント上空では別申請が必要
申請には最短でも7営業日、内容によっては2週間以上かかることもあります。撮影日から逆算し、ロケハン段階で早めに手続きを始めることが成功の鍵になります。

用途に合った機体選びは、撮影の成功と安全性を左右します。価格だけでなく、以下の3点に注目するのがポイントです。
1型以上のセンサーを搭載していれば、薄暗い環境でもノイズを抑えた映像が撮れます。夜明けや夕景、室内撮影でも安心です。
3軸ジンバルは、ブレを防ぐ基本仕様。横風や着地時のブレにも強く、滑らかで安定感のある映像を実現します。
障害物検知・自動帰還・風速警告などの機能があると、不慮の事態にも備えやすくなります。初心者や企業案件では特に重要です。
撮影当日のスムーズな進行には、事前準備が欠かせません。余裕をもったスケジューリングと準備が映像の質を左右します。
・飛行許可の取得
・機体登録と保険加入(対人・対物1億円以上)
・ロケ地の下見(風、人口密度、障害物)
・バッテリー充電と予備機材の確認
・ジンバル点検、SDカード初期化
・撮影モード確認(Log推奨)、ホワイトバランス固定
・補助員との合図確認、安全確認の徹底
これらをルーティン化することで、現場対応力も格段に向上します。

空撮映像を“プロっぽく”見せるためには、テクニックの習得が欠かせません。基本の3技法を押さえておきましょう。
被写体を中心に円を描くように飛行する手法。建物や人物、施設紹介に最適で、存在感を強調できます。
低い位置からゆっくりカメラを上げていくことで、視界が一気に開ける演出が可能。冒頭のインパクト作りに有効です。
前進と旋回を組み合わせることで、スピード感と立体感が生まれます。製品紹介やCM映像にも多く使われる動きです。
操作の滑らかさは、ジンバル速度やスティック感度の調整で決まります。事前練習が完成度を左右します。
撮影素材を“映像作品”として仕上げるには、編集とカラー補正が鍵になります。見栄えだけでなく、ブランド世界観を伝えるためにも欠かせません。
Logで撮影した映像にLUT(ルックアップテーブル)を適用することで、後から色味を調整しやすくなります。シネマライクなトーン作成にも対応できます。
自然な空の青や芝の緑を出すには、色温度の見直しと中間域の明るさ調整が有効です。過剰な補正は避け、自然なトーンを目指しましょう。
セピア調やティール&オレンジなどのカラー演出は、SNSや展示映像で印象を残す手法として有効です。媒体ごとの演出設計も大切です。
ドローン撮影の価格は、目的や撮影時間、編集内容によって変わります。以下はおおまかな相場感です。
| プラン | 撮影時間 | 編集内容 | 価格(税別) |
| ライト | 約1 時間 | カット編集のみ | 約 7 万円 |
| スタンダード | 約3 時間 | 色調整+テロップ | 約 15 万円 |
| プレミアム | 約6 時間 | 4K 編集+BGM+ナレーション | 約 40 万円 |
イベント記録などはライト、ブランドPVなどはスタンダード〜プレミアムが主流です。
撮影から編集、納品、広告・パンフレット展開までを一括で対応できる体制は、プロジェクト全体の効率と品質を高めます。
外注先が複数に分かれると、素材のやり取りに手間と時間がかかります。ワンストップ体制なら形式や容量のすり合わせも不要で、次工程にスムーズに引き継げます。
SNS用の縦動画、LP用の横長映像、紙媒体用の静止画など、同じ素材をメディアごとに加工・最適化して納品できます。ブランドイメージの統一も実現できます。
発注や確認の手間が減ることで、全体の制作工数が15〜20%削減された事例もあります。社内調整や確認フローの簡素化にもつながります。
Q. 保険は必要?
A. 商用の場合、対人・対物ともに1億円以上が目安です。
Q. 夜間撮影は可能?
A. 許可と補助照明があれば可能です。ただし光害への配慮が必要です。
Q. データ容量は?
A. 512GBで4K RAW映像を約110分収録できます。
ドローン撮影は、企画・準備・編集・活用というすべての工程を丁寧に設計することで、その効果を最大限に発揮できます。
・撮影の目的を明確にすることで、構成や機体選びが明確になる
・許可申請や保険加入は早めの行動が鍵。逆算スケジュールが成功を導く
・撮影素材を単体で終わらせず、多メディアに展開して活用することが重要
まずはスモールスタートでドローン活用のノウハウを社内に蓄積し、長期的にはブランド力とコスト効率の両立を目指しましょう。