
小冊子印刷のすべて ── 用紙・綴じ・部数まで“失敗しない冊子づくり”完全ガイド
2025年07月24日

「冊子を印刷したいけど、どの業者に頼めばいいのかわからない」
「見積もりを取ってみたら、思ったより高くてびっくりした」
こんな経験、ありませんか?
展示会用のパンフレットや社内マニュアル、製品カタログなど、冊子印刷はビジネスシーンで欠かせないツールです。ですが、綴じ方・用紙・加工・納期・価格といった選択肢が多く、専門用語も多いため、業者選びで悩む人は少なくありません。
冊子印刷は「価格が安ければOK」ではなく、用途に合わせた仕様決め+対応力のある業者選びが満足度に直結します。特に、初めての冊子制作では「印刷できたけどイメージと違う…」といった後悔も起こりがちです。
この記事では、小ロットから大量印刷まで幅広く対応できる印刷会社の見極め方を、5つの視点から徹底解説。仕様決めからWeb連携による活用アイデアまで、コストと品質のバランスを重視した業者選定のコツをわかりやすくまとめています。印刷会社に見積もりを依頼する前に、ぜひ一度ご覧ください。

冊子印刷の費用は、見た目の印象やページ数の多さ以上に「構成の組み方」で大きく変わります。特に初めて印刷を依頼する方にとっては、なぜ同じ冊子でも業者によって価格差が出るのかが分かりにくいもの。本章では、価格を決める5つの主な要素を整理し、適正価格を見極めるための基準を紹介します。
冊子は印刷工程の都合上、4ページ単位で構成されます。48ページを超えるかどうかで製本方式も変わってくるため、最初にページ数の見込みを立てることが大切です。ムダな空白を避けるだけでも、印刷費を数千円〜数万円単位で節約できる場合があります。
A4やA5といった定型サイズは、用紙を無駄なく使えるためコスト効率が高くなります。一方、変形サイズは紙のロスが出やすく、割高になる傾向があるため注意が必要です。
一般的に、本文には90kg程度、表紙には135〜180kg程度の厚みの用紙が使われます。写真やカラー重視ならコート紙、書き込み重視なら上質紙といったように、用途に応じた選定が必要です。
冊子の綴じ方によって、印象も耐久性も変わります。薄めなら中綴じ、長期保存を前提とするなら無線綴じやPUR製本がおすすめです。
100部以下の少部数ならオンデマンド印刷が割安ですが、1,000部を超えるような大量印刷にはオフセット印刷が向いています。用途と配布先に応じて、最適な発注ロットを検討しましょう。
価格や仕様を比較する前に、まず確認すべきなのが“対応力”です。思わぬ追加費用や、納期トラブルを防ぐためには、以下の観点を事前にチェックしておくと安心です。

冊子の読みやすさや長期使用の可否は、実は「綴じ方」で決まると言っても過言ではありません。ここでは代表的な3つの製本方式について、それぞれの特徴と向いている用途を紹介します。
ホチキスで冊子の真ん中を留めるシンプルな製本方式。最大48ページ程度まで対応でき、軽くて開きやすいため、展示会資料や簡易カタログにおすすめです。制作費も安価ですが、厚みのある冊子には不向きです。
ページの背を糊で接着することで、厚みのある冊子でもしっかりと仕上がります。見た目は本のようになり、長期保存や書棚での保管にも向いています。中綴じよりも1〜2営業日納期が長くなることもあるため、早めの発注が安心です。
無線綴じの一種ですが、PUR(ポリウレタン系接着剤)を使うことで、背割れやページ脱落のリスクを最小限に抑えられます。分厚いマニュアルや頻繁に開閉される資料、屋外での使用にも適しています。
読者が手に取った瞬間に「この冊子、ちゃんとしてるな」と思ってもらえるかは、紙と色の選び方にかかっています。ここでは、用途に応じた用紙・カラー設計の考え方を紹介します。
・上質紙:書き込みやすく、研修テキストやマニュアル向け
・マット紙:光の反射が少なく、落ち着いた印象に
・コート紙:写真やグラフが映える光沢タイプ。販促資料に最適
紙質を本文と表紙で分けると、見栄えとコストのバランスがとりやすくなります。
表紙にPP加工(マットPPやグロスPP)を施すことで、汚れやこすれへの耐性が高まります。さらに、箔押しやエンボス加工を施せば、ブランド価値をより高く伝えることができます。
本文をすべてフルカラーにすると費用が膨らみがちですが、冒頭だけをカラー、本文はモノクロにする「口絵構成」にすれば、印刷費を30%ほど抑えることが可能です。

どんなに良いデザインを作っても、入稿データに不備があると「印刷不可」や「再入稿」の対応が発生し、時間もコストも無駄にしてしまいます。特に初めての方は、以下のステップを丁寧に押さえるだけでトラブルを防ぐことができます。
印刷会社が配布しているIllustrator・InDesign用のテンプレートを活用すれば、トンボや塗り足し、背幅ガイドが自動的に配置されており、設定ミスを未然に防げます。
解像度が不足していると、印刷物で写真が粗く見えてしまいます。また、RGBカラーモードのままだと、印刷時に色味が大きく変わる可能性があります。必ず「350dpi以上」「CMYK」で画像を配置しましょう。
無線綴じやPUR製本では、ページ数と用紙の厚みに応じた背幅計算が必要です。多くの印刷会社が「背幅計算ツール」を提供しているため、それを使って正確な背幅を導きましょう。
テキストはすべてアウトライン化(パス変換)しておくことで、文字化けやフォントの置き換えを防げます。また、リンク切れしている画像がないか、事前に最終確認を。
印刷トラブルを防ぐには、PDF/X-1a形式で保存するのが鉄則。カラープロファイルやトンボ情報なども含まれ、印刷現場でスムーズに処理できます。
印刷物は「配るだけの資料」ではなく、Webと連動させることで投資対効果(ROI)を飛躍的に高めることができます。ここでは実際の成功事例をもとに、紙×Webの連携施策を紹介します。
たとえば商品カタログやパンフレットにQRコードを挿入すれば、紙面スペースに限られない情報(動画・詳細ページ・資料請求フォームなど)にスムーズに誘導できます。
読み取りデータをGoogleアナリティクス等で解析すれば、どのエリアでの配布冊子が効果的だったかも把握可能。印刷物の成果を“見える化”できるようになります。
紙の冊子で作成した内容を、そのままWebコンテンツに展開すれば、撮影費・原稿作成費の二重コストを抑えつつ、ブランドの一貫性を保つことができます。
印刷+Webの両方を一社で依頼すれば、修正依頼やデザインの擦り合わせも一括で行えるため、制作効率も高まります。

Q. 少部数でも割安にできますか?
A. はい。オンデマンド印刷+中綴じであれば、10部から対応可能で、1冊150〜250円程度で制作できます。更新頻度が高い資料や、限定配布冊子には最適です。
Q. RGB入稿でも印刷できますか?
A. 一部の印刷会社では自動変換対応していますが、色味が変わるリスクがあるため、CMYK変換+PDF/X-1a形式での入稿が推奨されます。
Q. オプション加工の価格は?
A. マットPPやグロスPPは、冊子100部あたり+3,000〜5,000円が目安です。箔押しやエンボスはデザイン面積・型代により1万円〜数万円となることもあります。
冊子印刷業者の選び方は、「価格×品質×サポート体制」の3軸で考えるのが成功の鍵です。特に初めての発注では、下記の5つのステップを押さえることで、失敗リスクを大幅に減らせます。
・ページ数と綴じ方を先に決めて見積もりを取りやすくする
・本文と表紙の紙質を分けて、コストと印象を最適化する
・入稿前にテンプレートとPDF/X-1a形式を徹底し、再入稿を防ぐ
・QRコードやPDF活用でWeb連携し、反応を可視化する
・総額(送料・加工費含む)で業者を比較し、追加料金を見落とさない
冊子制作は、印刷だけでなく販促やブランディングの成功に直結する重要なプロジェクト。まずは無料サンプル請求や簡易見積もりから、信頼できる業者との接点をつくっていきましょう。