印刷会社で製本を依頼するには?冊子作成から用紙・綴じ方の選択までを徹底解説

カタログやパンフレット、会報誌など、さまざまなシーンで必要とされる冊子。その仕上がりの良し悪しは、読者に与える印象を大きく左右します。しかし、いざ印刷会社に「製本してほしい」と注文しようと思うと、「どの綴じ方が適しているのか」「用紙やサイズはどう選ぶ?」など、疑問が次々と浮かんでくる方も多いのではないでしょうか。

 

本記事では「印刷 会社 製本」をテーマに、代表的な綴じ方法(中綴じ、無線綴じなど)や紙厚(kg)の選択、データ入稿の流れ、本文と表紙の仕様などを総合的に解説します。仕上がりのクオリティを高めるポイントから、スケジュール管理、コスト面の考慮などまでカバーしているので、初めての冊子作成にも役立ちます。

 

ぜひ参考にしていただき、理想の印刷製品を完成させてください。

1. なぜ製本が重要なのか?

1-1. 読み手の印象を左右する

企業のカタログや会報誌、学校の卒業記念冊子など、冊子としてまとめる印刷物は「閲覧される機会が多い」うえに、保管・保存される期間が長いことがよくあります。しっかりとした製本が施されていれば、見栄えや耐久性、扱いやすさが向上し、読者の好印象につながります。

1-2. 情報の一体感を出せる

綴じ方が合っていると、全体のコンセプトやブランドイメージをまとめやすくなります。ページがバラバラにならないのは当然ながら、印刷物として一体感のある仕上がりになるのが製本の大きなメリットと言えます。

1-3. 長期利用や高級感の演出

イベントで使う一時的なフライヤーやチラシとは異なり、長期的に使う冊子やカタログは見やすさや耐久性が重要。綴じ方を工夫してページが抜け落ちにくくしたり、紙厚や表面加工で高級感を出したりすることも可能です。

2. 冊子の基本構成:表紙・本文・綴じ仕様

2-1. 表紙と本文の関係

冊子の構成は、基本的に表紙(カバー)と本文(中身)から成ります。表紙と本文で異なる紙を使用する場合が多く、表紙だけ厚めの紙やデザイン性の高い紙を選ぶケースが一般的です。また、タイトルやロゴを大きく配置することで、第一印象を強烈に残すことができます。

2-2. ページ数と綴じ形式の相関

  • ページ数が8ページ程度と少なめなら中綴じや折り製本
  • 10ページ以上なら無線綴じ(糊付け)を検討
  • 大量ページ(数十~百ページ以上)なら背表紙が厚めになる無線綴じやPUR製本など

冊子の用途や保管期間を考慮して選ぶと良いでしょう。

2-3. サイズの選択

A4が企業カタログのスタンダードとして多いですが、B5やA5など小さめのサイズだと持ち運びしやすいメリットがあります。独自サイズで印刷すると一気に個性的な印象を与えられる反面、対応できる印刷会社が限られる場合もあるため要検討。

3. 綴じ方の種類:中綴じ、無線綴じ、その他

3-1. 中綴じ

数枚の紙を折り重ねてホチキスで中央を留める方式。薄めの冊子(8~32ページ程度)に向いており、コストも比較的低め。ページ数は4の倍数になることが多いです。開いた時に中央がフラットになりやすく、読みやすいのが特長。

3-2. 無線綴じ

背に糊(接着剤)を塗って綴じる方法で、ページ数が多くても仕上がりがきれいです。雑誌や書籍によく使われている方式で、高級感や長期保存にも適しています。ページ数が増えても安定性があり、背表紙にタイトルを印刷できるのがメリット。

3-3. その他の綴じ方

  • リング製本: スパイラル状のリングで綴じる。開きやすいが書籍感は少なめ。
  • 紐綴じ: 和綴じなど伝統的な綴じ方で、特別感やレトロな雰囲気を演出できる。

用途やデザインイメージに合わせて最適な方法を選びましょう。

4. 用紙選びのポイント:kg表記と紙質

4-1. kg表記と紙厚の基本

印刷用紙には「90kg」「110kg」などの“連量”表記があり、数字が大きいほど厚い紙を意味します。表紙は135kgや180kgなど厚め、本文は90kg~110kgなど比較的薄めの紙を使うケースが多いです。仕上がりの印象やめくりやすさを考慮して選んでください。

4-2. 紙質(コート・マット・上質など)

  • コート紙: 表面がツヤツヤ。カラー再現が鮮やかで写真やイラストが映える
  • マットコート紙: 光沢を抑えた落ち着いた仕上がり。文字が多い冊子に向いている
  • 上質紙: コーティングなしで手触りがナチュラル。落ち着き重視や筆記性を求める場合に

イメージや利用シーンに合わせて最適な紙を選び、データと相性の良い紙質を確保するのが大切です。

4-3. カラーの仕上がりを意識する

光沢感のあるコート紙だと写真やカラフルなデザインが映えますが、マット紙は文字情報メインの冊子に適した読みやすい雰囲気になります。色味の仕上がりを最重視する場合はサンプル印刷や色校正も検討しましょう。

5. 入稿から納品までの流れ

5-1. データの作成とフォーマット

  • 作成したレイアウトデータ(InDesign、Illustratorなど)を印刷会社が指定する形式で準備
  • 解像度は300dpi程度、カラーモードはCMYK
  • 塗り足しは3mm程度、フォントはアウトライン化するなど基本ルールを守る

5-2. 校正と修正

まず、デザイナーや依頼先と初校を確認し、大きな修正を行います。その後、再校で細かい文字修正や色味の最終チェックを行い、OKが出れば「校了」として印刷工程へ進みます。ここで時間を取りすぎると納期に影響するため、スケジュールを逆算して管理しましょう.

5-3. 印刷・加工・梱包

製本方式に応じて中綴じ、無線綴じなどの工程を経て納品されます。追加加工(PP加工、箔押しなど)がある場合は通常より日数がかかることも。受け取り後はすぐに部数や仕上がりをチェックし、不備があれば早めに連絡を。

6. カラーや加工方法で差をつける

6-1. フルカラー・モノクロ印刷

冊子全ページをフルカラーにするとコストが上がりますが、華やかで訴求力が高まります。一部ページのみカラー、他はモノクロとすることでコストダウンも可能です。手に取る人にとってどの情報が重要なのかを考え、ページごとにカラー設定を変えるのもありです。

6-2. 加工オプション

  • PP加工(ラミネート): 表紙を保護し、光沢や耐久性をアップ
  • 箔押し: 金や銀などでロゴやタイトルに高級感をプラス
  • 型抜き: 一部を切り抜き個性的なデザインに

こうしたオプションは目立ちやすい反面、価格や納期に影響があるので要確認。

7. 印刷会社への注文時に気をつけたい点

7-1. 見積もり内容をしっかり比較

複数の印刷会社に見積もりをとり、仕様(用紙、サイズ、部数など)やデータ入稿形式、納期、送料なども含めて総合的に判断しましょう。安さだけでなくサポート体制や口コミ評価なども考慮してベストなパートナーを見つけると安心です.

7-2. スケジュール管理

イベントや掲載開始日の直前に焦って作成を進めると、修正回数や校正に余裕を持てません。なるべく余裕をもって準備に取り組み、突発トラブルにも対処できるようにしておきましょう。

7-3. 追加費用やキャンセル規定

大型トラブルや大幅修正、納期短縮依頼などにより追加費用が生じる場合があります。キャンセルや納品後の再印刷が必要になった際の対応や費用負担について、事前に把握しておくとリスクを減らせます。

8. まとめ:最適な製本方法で魅力的な冊子を作る

冊子の綴じ方から用紙選び、入稿手順までを総合的に解説しました。以下のポイントを押さえておけば、スムーズにハイクオリティの冊子を完成させることができます。

  1. 綴じ方選択(中綴じ・無線綴じなど)
    • ページ数と用途に合わせて最適な方式を選ぶ。薄めなら中綴じ、多ページなら無線綴じ。
  2. 用紙と紙厚(kg)の検討
    • 表紙と本文で紙質を変えてメリハリをつける。コート紙やマット紙など希望の仕上がりと価格帯をバランス良く考慮。
  3. デザインとデータの作成
    • レイアウトや色味を明確にし、解像度や塗り足しなど印刷の基本ルールを守る。
    • 修正段階で大きな変更が出ないよう、初期のヒアリングを入念に。
  4. 印刷会社への注文と納期管理
    • 見積もりを比較しつつ、サポート体制やトラブル対応なども確認する。
    • 急ぎの場合は特急料金や納期の短縮交渉なども視野に入れるが、可能な限り余裕を持つ。
  5. 完成後の確認
    • 納品された冊子のページや仕上がりをすぐにチェックし、不備があれば迅速に連絡する。

冊子・カタログ・会報誌など、長期的に使われる印刷物だからこそ、製本がしっかりしていると読者に安心感や信頼感を与えられます。今回紹介したポイントを参考に、プロの仕上がりに負けないクオリティの印刷物を目指してみてください。用途や予算に合わせて最適な綴じ方法を選び、ワンランク上の冊子を完成させましょう。