パンフレット印刷の用紙選び徹底ガイド:コート紙・マット・上質紙の違いと価格の目安

企業のパンフレットやイベントのチラシを制作する際、重要なポイントのひとつが「どんな用紙を使うか」ということです。表面の光沢や手触りはもちろん、カラーの表現力や印刷の仕上がりにも関わるため、用紙の選択次第で「安っぽく見えてしまう」「情報が読み取りにくい」といった問題が起きることも。

本記事では、コート紙・マットコート紙・上質紙など代表的な紙の「種類」「違い」「用途」を解説。さらに用紙ごとの価格(販売価格)や目安となる「kg表記」、写真やデザインの印刷に向いているかなど、多角的に紹介します。ぜひ最後までご覧いただき、最適な印刷用紙で質の高いパンフレットを作り上げてください。

1. なぜ用紙選びが重要なのか?

1-1. 仕上がりの印象を左右する

パンフレットやチラシなどの印刷物は、用紙の質感や厚みによって大きくイメージが変わります。紙が薄すぎると安っぽく見えたり、逆に厚みのある紙で高級感を演出したりと、ブランディングや販促効果にも影響を及ぼすため、用紙選びはとても重要です。

1-2. 読みやすさと耐久性にも関わる

文字や写真が見やすいかどうかは、紙の表面の光沢やコーティングによって左右されます。また、長期間使用する冊子類の場合、折れやすさや耐水性など耐久面も考慮しなければなりません。用途に合わせた用紙選択が成果を左右すると言っても過言ではありません。

1-3. コスト面でも大きな差が出る

用紙の価格は紙質や紙厚(kg表記)などによって異なり、プロモーション費用に直結します。単価が高い紙を大量に使うと予算を圧迫しますが、安い紙すぎると仕上がりが期待外れになる可能性もあるため、適度なバランスを見極めることが大切です。

2. 印刷用紙の基本:kg表記と紙の厚さ

2-1. kg表記とは

印刷用紙には「90kg」「110kg」「135kg」など、数字+「kg」という形で表記されることがあります。これは「連量(れんりょう)」と呼ばれ、紙1000枚あたりの重さ(○○kg)を示すものです。数字が大きいほど厚く、しっかりした手触りになります。

連量(kg)特徴
70kg薄手で軽く、コストを抑えやすい。安っぽく見える可能性。
90kgチラシなどで広く使われる標準的な厚さ。
110kgやや厚めで、パンフレットや名刺などに適。
135kg重厚感があり、高級感を出したい印刷物向け。

2-2. 厚さと価格の関係

厚みがある紙ほど製造コストが高くなるため、販売価格(印刷会社の見積もり金額)も上がる傾向があります。大量印刷や予算が限られている場合は、「どの程度の厚さが最低限必要か」を検討しながら選択しましょう。

2-3. 薄い紙が適している場合

配布用の大量チラシや短期的に使うフライヤーなら、90kg程度の薄めのコート紙・マット紙でも十分対応可能です。印刷や配送のコストダウンを図るなら、やや薄めの紙を採用するのもひとつの手段です。

3. コート紙・マット・上質紙の特徴と違い

3-1. コート紙

  • 特徴: 表面にコーティングが施され、光沢があり、写真やカラーを鮮やかに再現。
  • 用途: カラフルなデザインを重視するパンフレットや、高級感を出したいカタログに向く。
  • 注意点: 光沢が強いため、光の反射が気になる場合も。また、筆記はやや苦手。

3-2. マットコート紙

  • 特徴: 光沢を抑えたコート紙。落ち着いた雰囲気で反射を軽減し、文字や写真を見やすくする。
  • 用途: 上品な印象を与えるパンフレット、しっかり読ませる文字中心の冊子など。
  • 注意点: 発色はコート紙ほど鮮やかではないが、読みやすさと高級感を両立しやすい。

3-3. 上質紙

  • 特徴: コーティングされていない、ナチュラルな紙。筆記性に優れ、落ち着いた仕上がり。
  • 用途: ビジネス文書やアンケート、ナチュラル感重視のパンフレットやチラシなど。
  • 注意点: カラー印刷の発色はコート紙系より落ち着くため、明るさや鮮やかさは控えめ。

4. 用途別に見るおすすめの紙の種類

4-1. 企業パンフレット

企業のイメージを左右するため、高品質な仕上がりが望ましいです。マットコート紙やコート紙で厚みのある(110kgや135kg)用紙を選ぶと、しっかりとした印象を与えられます。

4-2. 製品カタログやメニュー表

写真を多用する場合は、光沢が映えるコート紙が好相性。食品メニューなどはフルカラーで魅力を引き出すため、コート紙や厚みのあるマットコート紙を選びましょう。水や汚れを防ぐ加工(PP貼り)も検討するとなお安心です。

4-3. イベントフライヤーやチラシ

配布目的が中心なら、厚すぎない紙(90kg~110kg)を選びコストダウンするのが一般的。カラフルなデザインならコート紙、文字中心ならマットコート紙や上質紙が最適です。

4-4. 冊子・カタログ

ページ数が多い冊子形式の場合、上質紙やマットコート紙などでやや落ち着いた雰囲気を出すのが定番。表紙だけ厚めのコート紙にし、本文は薄いマット紙を使う組み合わせもよく見られます。

5. 価格の見方:税抜き表示や販売価格の目安

5-1. 税抜きと税込の切り替えに注意

印刷会社のウェブサイトで提示されている価格は、税抜き表示か税込表示かをしっかり確認しましょう。販売価格に大きなギャップが生じる場合もあるため、トータルコストを比較する際には注意が必要です。

5-2. 基本的な価格設定例

  • 用紙: コート紙かマット紙か、上質紙かによって単価が異なる。
  • 部数: 大量注文ほど1枚あたりの単価が下がる。
  • サイズ: A4、B5など。大きいほど紙面が大きく、価格が上がる傾向。
  • 折り加工や冊子製本: 追加料金が発生する場合が多い。

5-3. ネット印刷とオフライン業者の違い

近年はオンライン印刷サービスが一般的で、見積もりが簡単に算出できる場合が増えています。ただし、届け日(納期)の指定や対面でのサポートを望む場合は、地域密着型の印刷会社も検討するとよいでしょう。

6. カラーや写真を美しく仕上げるコツ

6-1. カラープロファイルとモニターの差

デザイン作業では、画面上(RGB)と印刷上(CMYK)の色味が異なることに注意が必要です。写真やイラストの色がモニターと大きく変わらないよう、カラープロファイルを適切に設定して入稿しましょう。

6-2. 発色を高める用紙選び

鮮やかなカラーやリアルな写真表現をしたいなら、コート紙やマットコート紙がおすすめ。上質紙だと色が沈むこともあるため、文字主体のデザインに向いています。光沢を抑えたいならマットコート紙、鮮明な発色を優先するならコート紙が基本的な選択肢です.

6-3. 印刷設定と校正

大量部数や色再現がシビアな用途では、印刷前に「色校正」を依頼すると安心です。一部校正刷りで仕上がりを確認し、問題なければ本番印刷に移ることで大きな色ズレを防ぎます。

7. 冊子・パンフレットの用紙選び実例

7-1. 企業パンフレット(8ページ、中綴じ)

  • 表紙: 135kgのコート紙で光沢と高級感をプラス。
  • 中ページ: 110kgマットコート紙で落ち着いたトーンにし、文字を読みやすくする。
  • カラー: 全ページフルカラーで写真を豊富に使用し、視覚的訴求力を高める。

7-2. ショップ案内パンフレット(二つ折り、4ページ)

  • 用紙: 110kgマットコート紙(光沢を抑えつつ発色良好)。
  • 折り加工: 二つ折りにしてA5仕上げに。片手に収まるサイズで持ち運びやすい。
  • 価格: オフセット印刷よりオンデマンドを選択し、小ロットでコストダウン。

7-3. 商品カタログ(16ページ、無線綴じ)

  • 表紙: 135kgコート紙でツヤ感を出し、写真や商品イメージを鮮明に。
  • 本文: 90kgコート紙でページ数のわりに軽量化し、発送コストを抑える。
  • 税抜き表示で商品価格を掲載し、余裕をもった納期設定。

8. まとめ:印刷用紙の特徴を活かして魅力的なパンフレットを

パンフレット用紙の選び方は、企業や商品のイメージを左右する重大な要素です。コート紙やマットコート紙、上質紙などそれぞれの紙質が持つ特性や価格の違いを理解し、サイズやページ数、折り加工などの仕様を踏まえた上で最適な組み合わせを見つけましょう。

  • 目的と用途: 用紙を選ぶ前に、どのような読者に向け、どんな情報を伝えたいかを明確に。
  • 紙厚(kg表記)の考慮: 90kg~135kgといった幅を基本にしながら、印象やコストを調整。
  • カラーと写真の美しさ**: 鮮明な表現が必要な場合はコート紙、落ち着きや文字可読性重視ならマットコート紙か上質紙。
  • 価格: 税抜き表示やキャンペーン情報をチェックし、複数の印刷会社で見積もりを比較。
  • 納期: 大量部数や特殊加工の場合は早めの注文と入稿が必須。

適切な用紙を選べば、読者に一目で「品質の高い印刷物だ」と感じてもらえる可能性がぐっと高まります。パンフレットは企業や商品のストーリーを伝える大切な媒体です。ぜひ本記事を参考にして、最適な用紙選択と印刷仕様を検討し、魅力的かつ高品質なパンフレットを完成させてください。